抗生物質の代わりになる市販薬の風邪薬おすすめ8選｜【薬剤師が解説】

風邪の80%～90%はウイルスが原因で起こります。

抗生物質は細菌をやっつけますが、ウイルスには効果がありません。

病院では風邪で、細菌が原因の場合や二次感染予防に抗生物質が処方されることがありますが、セルフメディケーションを前提とした市販薬には抗生物質は配合されていません。

そのため市販の風邪薬では、風邪の諸症状を緩和するような対症療法になります。

市販の風邪薬はなぜ効くの？

首の後ろがぞくぞくしたり、寒気がするような段階の風邪であれば、漢方薬の葛根湯などがよく効きます。

すでに発熱したり、咳が出たり、喉が痛くなったり、鼻水が止まらないなど、風邪特有の症状が明確に現れているような場合は、不快な症状を抑える市販の西洋薬を選びます。

漢方薬の葛根湯と西洋薬は作用の仕方が異なります。

市販の葛根湯（漢方薬）の効き方

葛根湯を風邪のひき始めに飲むと、高温を嫌うウイルスに対抗するために体温を高めます。

呼吸を楽にして炎症をやわらげ、体温が一定以上に高くなると、今度は発汗して体温がもとに戻ります。

早期に葛根湯を飲むことで、症状もそれほど強く感じることなく、無難に風邪をやり過ごすせます。

症状が軽いので体力もそれほど奪われず、食欲も落ちないので、体力が温存され風邪によるからだへのダメージも少なくなります。

市販の西洋薬の効き方

市販の西洋薬には主に、風邪による熱を下げる解熱成分と、つらい風邪の症状を抑える成分が含まれています。

解熱成分は葛根湯とは異なり、上昇した体温を下げるので、発熱によるだるさや倦怠感などが緩和されます。

つらい症状を抑える成分で、咳や痰、鼻水、喉の痛みなどを緩和することで、不快感や体への負担を和らげます。

抗生物質の代わりになる市販薬の風邪薬おすすめ8選

基本的に風邪薬はどれを選んでも、熱やのどの痛み、咳、痰、鼻水など風邪の諸症状全般に効くような処方になっています。

とはいえ、風邪薬に配合される有効成分の違いによって、喉の痛みや痰など、特定の症状に対して高い効果を発揮するように処方が工夫されていることもあります。

どの症状が一番つらいか（熱、喉、鼻、せきなど）に合わせて選びましょう。

抗生物質の代わりになる市販薬の風邪薬おすすめ8選について「得意な症状」「眠気の出やすさ」「胃への優しさ」「注意点」を分かりやすくまとめた下記の表を参考にしてください。

製品名	販売元	得意な症状	解熱鎮痛成分	眠気が 出ない？	胃に 優しい？	主な注意点
1. エスタックイブ		🔥発熱 🥵喉の痛み、せき 👃鼻水	イブプロフェン	△	△	15歳未満服用不可 出産予定12週以内は服用不可 授乳中服用不可
2. エスタック 総合感冒		🌀風邪の諸症状	アセトアミノフェン	△	〇	5歳未満服用不可
3. パブロンエース Pro-X微粒		🔥発熱 🥵喉の痛み、たん、せき 👃鼻水	イブプロフェン	△	△	15歳未満服用不可 出産予定12週以内は服用不可 授乳中服用不可
4. コフト顆粒		🥶ひきはじめ(葛根湯) ＋進行後の諸症状	アセトアミノフェン	△	〇	12歳未満服用不可 授乳中服用不可
5. パブロンS微粒		🔥発熱 🥵喉の痛み、せき、たん 💪鼻水	アセトアミノフェン	△	〇	1歳未満服用不可
6. ムヒのこどもかぜ シロップS2/P2		👶小児の総合症状 (発熱・鼻水・咳)	アセトアミノフェン	△	〇	対象年齢 (3ヶ月～7歳未満)
7. ツムラ漢方葛根湯 エキス顆粒A		🥶風邪のひきはじめ (寒気・汗なし)	ー	◎	◎	2歳未満服用不可
8. 葛根湯エキス顆粒 Ａクラシエ		🥶風邪のひきはじめ (寒気・汗なし)	ー	◎	◎	4歳未満不可

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1. エスタックイブ｜のどの痛み・発熱・咳

イブプロフェンで喉の痛み・発熱を強力に抑え、風邪で消耗しがちなビタミンを補給できる。

鼻水にも効きます。

製薬会社	エスエス製薬
分類	第2類医薬品
主な特徴	喉の痛み・発熱をメインに風邪の諸症状に効く。
有効成分	イブプロフェン ジヒドロコデインリン酸塩 dl-メチルエフェドリン塩酸塩 クロルフェニラミンマレイン酸塩 無水カフェイン チアミン硝化物 アスコルビン酸	解熱鎮痛 鎮咳 気管支拡張 抗ヒスタミン/鼻水 ビタミンB1硝酸塩 ビタミンC
効果・効能	かぜの諸症状（のどの痛み、悪寒、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、 発熱、頭痛、せき、たん、関節の痛み、筋肉の痛み）の緩和
服用年齢	15歳以上
眠気は出にくい？	△
胃に優しい？	△
妊婦	出産予定日12週以内は服用不可
授乳婦	授乳中は服用不可

2. エスタック総合感冒｜家族の常備薬として

バランスの取れた総合感冒薬で熱や鼻水、喉の痛み、咳など風邪の諸症状に効きます。

胃に優しく、アセトアミノフェン配合のため空腹時でも比較的服用しやすい処方。

5才以上から服用できるので、家庭の常備薬に。

製薬会社	エスエス製薬
分類	第2類医薬品
主な特徴	家族みんな（5才以上）のかぜに。
有効成分	アセトアミノフェン クロルフェニラミンマレイン酸塩 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 dl-メチルエフェドリン塩酸塩 ヘスペリジン カンゾウエキス ショウキョウ末 無水カフェイン	解熱鎮痛 抗ヒスタミン/鼻水 鎮咳 気管支拡張 血管を強化・血流を改善 抗炎症作用 体の表面を温め発汗を促す 鎮痛補助成分
効果・効能	かぜの諸症状（のどの痛み、鼻水、鼻づまり、発熱、悪寒、頭痛、 くしゃみ、せき、たん、関節の痛み、筋肉の痛み）の緩和
服用年齢	5歳以上
眠気は出にくい？	△
胃に優しい？	〇
妊婦	服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談
授乳婦	服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談

3. パブロンエースPro-X微粒｜頑固な痰や鼻づまりによく効く！

痰に特化した成分（L-カルボシステイン、アンブロキソール）と鼻づまりに効く成分（塩酸プソイドエフェドリン）を重点的に配合。

他の風邪薬と同じように風邪の諸症状に効きますが、粘って絡みつくような痰や、鼻づまりがひどい場合は特におすすめで、鼻がスーッと通り、頑固な痰をサラサラにして出しやすくしてくれます。

製薬会社	大正製薬
分類	第2類医薬品
主な特徴	風邪の諸症状に効く総合感冒薬。 とくに、頑固にからみつく痰や鼻づまりに。
有効成分	イブプロフェン L-カルボシステイン アンブロキソール塩酸塩 ジヒドロコデインリン酸塩 塩酸プソイドエフェドリン クロルフェニラミンマレイン酸塩 リボフラビン（ビタミンB₂）	解熱鎮痛 去痰 去痰 鎮咳 鼻づまり 抗ヒスタミン/鼻水 ビタミンB２
効果・効能	かぜの諸症状（のどの痛み、せき、たん、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、 発熱、悪寒（発熱によるさむけ）、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み）の緩和
服用年齢	15歳以上
眠気は出にくい？	△
胃に優しい？	△
妊婦	服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談 出産予定日12週以内の妊婦は服用不可
授乳婦	授乳中は服用不可

4. コフト顆粒｜風邪の初期から諸症状まで改善

漢方薬の葛根湯と西洋薬を組み合わせたユニークな処方。風邪の引き始めから、熱やせきが出始めた諸症状まで対応。

製薬会社	日本臓器製薬
分類	第2類医薬品
主な特徴	葛根湯を飲みたいが、既に発熱などの症状が出ているような場合
有効成分	葛根湯エキス アセトアミノフェン クロルフェニラミンマレイン酸塩 ジヒドロコデインリン酸塩 グアイフェネシン 無水カフェイン ビタミンC ビタミンB₂	かぜのひきはじめの寒気・頭痛に 解熱鎮痛 抗ヒスタミン/鼻水 鎮咳 去痰 鎮痛補助剤 ビタミン補給 ビタミン補給
効果・効能	かぜの諸症状（鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、 たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み）の緩和
服用年齢	12歳以上
眠気は出にくい？	△
胃に優しい？	〇
妊婦	服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談
授乳婦	授乳中は服用不可

5. パブロンS微粒｜たん、のどの痛みなど風邪の諸症状に1歳から

「パブロンS微粒」はかぜの際に消耗しがちなビタミンCとビタミンB2を配合しています。

胃にやさしく、発熱やのどの痛みを緩和する「アセトアミノフェン」も配合。

たん、せき、鼻水などにも効果的な成分が配合され、1歳から服用可能なので、家庭の常備薬として役にたちます。

製薬会社	大正製薬株式会社
分類	第2類医薬品
主な特徴	風邪で消耗しがちなビタミン類と胃にやさしい「アセトアミノフェン」は配合で、子どもから大人まで服用できます。
有効成分	ブロムヘキシン塩酸塩 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 dl-メチルエフェドリン塩酸塩 アセトアミノフェン クロルフェニラミンマレイン酸塩 アスコルビン酸カルシウム リボフラビン	去痰 鎮咳 気管支拡張 解熱鎮痛 抗ヒスタミン/鼻水 ビタミンC ビタミンB2
効果・効能	かぜの諸症状（せき、たん、のどの痛み、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、 悪寒（発熱によるさむけ）、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み）の緩和
服用年齢	1歳以上
眠気は出にくい？	△
胃に優しい？	〇
妊婦	服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談
授乳婦	服用前に医師や薬剤師、登録販売者に相談

6. ムヒのこどもかぜシロップS2/P2｜3ヶ月から服用可能

3ヶ月の乳幼児から服用可能な小児用。水なしで飲めるシロップで、小児の服用を考慮した処方。

小さなお子様の風邪で、イチゴ風味（S2）とピーチ風味（P2）の2種類の風味が選べ、安全性を重視したい場合。

製薬会社	池田模範堂
分類	第2類医薬品
主な特徴	お子様（3ヶ月～7歳）のためのシロップ剤（S2-イチゴ・P2-ピーチ味）。
有効成分	アセトアミノフェン クロルフェニラミンマレイン酸塩 ナンテンジツ流エキス	解熱鎮痛 抗ヒスタミン/鼻水 喉の痛みを和らげる
効果・効能	かぜの諸症状（鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、 悪寒（発熱によるさむけ）、発熱、頭痛、関節・筋肉の痛み）の緩和
服用年齢	3ヶ月～7歳
眠気は出にくい？	△
胃に優しい？	〇
妊婦	—
授乳婦	—

7. ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒A｜風邪の初期に早めの対策

ゾクゾクとした寒気があり、汗が出ていない状態の風邪の初期（発症から1～2日が目安）。

比較的体力がある人向けで、熱や寒気が強くなってからの服用には不向き。

漢方薬は通常、空腹時に服用するのが効果的なので、食前（食事の30分程度前）か食間（食後2時間以上）に服用します。

製薬会社	ツムラ
分類	第2類医薬品
主な特徴	風邪のひきはじめに服用する代表的な漢方薬。
有効成分	カッコン タイソウ マオウ カンゾウ ケイヒ シャクヤク ショウキョウ	発汗・解熱、筋肉の緊張緩和 滋養強壮、薬性の緩和 発汗・鎮咳（せき止め）、鎮痛 薬性の調和、抗炎症 発汗、解熱、鎮痛 鎮痛、鎮痙（けいれん止め） 発汗、健胃、鎮嘔（吐き気止め）
効果・効能	体力中等度以上で次の諸症：感冒の初期（汗をかいていないもの）、 鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み
服用年齢	2歳以上
眠気は出にくい？	◎
胃に優しい？	◎
妊婦	妊娠または妊娠していると思われる人は医師または薬剤師に相談
授乳婦	—

8. 葛根湯エキス顆粒Ａクラシエ｜風邪の初期に早めの対策

ゾクゾクとした寒気があり、汗が出ていない状態の風邪の初期（発症から1～2日が目安）。

比較的体力がある人向けで、熱や寒気が強くなってからの服用には不向き。

漢方薬は通常、空腹時に服用するのが効果的なので、食前（食事の30分程度前）か食間（食後2時間以上）に服用します。

製薬会社	クラシエ
分類	第2類医薬品
主な特徴	風邪のひきはじめに用いられる葛根湯。
有効成分	カッコン マオウ タイソウ ケイヒ シャクヤク カンゾウ ショウキョウ	発汗・解熱、筋肉の緊張緩和 発汗・鎮咳（せき止め）、鎮痛 滋養強壮、薬性の緩和 発汗、解熱、鎮痛 鎮痛、鎮痙（けいれん止め） 薬性の調和、抗炎症 発汗、健胃、鎮嘔（吐き気止め）
効果・効能	体力中等度以上で次の諸症：感冒の初期（汗をかいていないもの）、 鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み
服用年齢	4歳以上
眠気は出にくい？	◎
胃に優しい？	◎
妊婦	妊娠または妊娠していると思われる人は医師または薬剤師に相談
授乳婦	—

風邪に効く市販薬の選び方は？

首の後ろがぞくぞくしたり、寒気がするような初期段階の風邪であれば、漢方薬の葛根湯がよく効きます。

すでに発熱したり、咳が出たり、喉が痛くなったり、痰がからんだり、鼻水が止まらないなど、風邪特有の症状が明確に現れているような場合は、不快な症状を抑える市販の西洋薬を選びます。

市販の風邪薬のパッケージには、含まれる有効成分の特性によって、「熱に効く」「咳に効く」など、効きやすい症状が強調して書かれていることが多いですが、風邪の諸症状全般に効くように処方が設計されています。

また、効果効能や有効成分の項目でどのような症状に効くのか表記されているので参考にします。

市販の風邪薬の成分

市販の風邪薬には下記のような症状を抑える成分があります。

1. 解熱鎮痛成分
2. 炎症を抑えて腫れを鎮める成分
3. 咳止め成分
4. 痰を出す成分
5. 鼻水を止める成分

1. 解熱鎮痛成分

解熱鎮痛成分には、解熱鎮痛作用に加えて消炎作用も持ち合わせたNSAIDs（エヌセイズ）と、消炎作用が弱い代わりにい胃に優しいアセトアミノフェンがあります。

NSAIDs（エヌセイズ）

消炎作用もあるので、熱や痛みだけではなく、風邪による喉の炎症を抑え腫れを鎮めて飲食もしやすくなります

• ロキソプロフェン
• イブプロフェン
• アスピリン

アセトアミノフェン

消炎作用は弱いが胃に優しい。

2. 炎症を抑えて腫れを鎮める成分

消炎作用があると風邪による喉の炎症を抑え腫れを鎮めて飲食もしやすくなります。

1. NSAIDs（エヌセイズ）

NSAIDsに分類される下記の解熱鎮痛成分は、炎症を抑える消炎作用を併せ持っています。

• ロキソプロフェン
• イブプロフェン
• アスピリン

2. トラネキサム酸

3. グリチルリチン（甘草）

3. 咳止め成分

咳止め成分には作用の仕方によって主に4パターンに分類できます。

1. 中枢性鎮咳薬（せき中枢に作用）

脳の延髄にある「せき中枢」に作用して、せき反射を抑えます。

• デキストロメトルファン（デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物など）非麻薬性で、広く使用されています。乾いたせきや痰の少ないせきに効果的です。
• ノスカピン
  非麻薬性です。
• コデイン系
  強い鎮咳作用がありますが、麻薬性で依存性のリスクや眠気、便秘などの副作用の可能性があります。12歳未満の小児は服用できません。
  • コデインリン酸塩水和物
  • ジヒドロコデインリン酸塩

2. 末梢性鎮咳薬（気道に作用）

気道の末端部分に直接作用し、せきの原因となる刺激を緩和します。

• チペピジンヒベンズ酸塩
• クロペラスチン塩酸塩

3. 気管支拡張成分（気管支を広げる）

せきを鎮め、呼吸を楽にする。

• dl-メチルエフェドリン塩酸塩など

4. 抗ヒスタミン成分（アレルギーを抑える）

アレルギー性のせきを鎮める。
眠気が出やすい。

• クロルフェニラミンマレイン酸塩など

4. 痰を出す成分

去痰薬は、痰の粘り気を減らしたり、気道粘膜を正常化したり、痰を外へ運び出すのを助けることで、痰を出しやすくする働きがあります。

ご自身で市販薬を選ぶ際は、薬剤師や登録販売者と相談して、ご自身の痰の状態（粘り気が強い、サラサラしているなど）に合った成分を選ぶとより効果的です。

1. 気道粘液調整・修復薬（痰の粘度を正常化・修復）

痰の成分である粘液のバランスを整えたり、傷ついた気道粘膜を修復したりすることで、粘り気を正常な状態に近づけ、痰を排出しやすくします。

• L-カルボシステイン
  痰の粘り気の元となる成分の構成比を正常化します。
  気道粘膜の修復も促します。

2. 気道粘液溶解薬（痰をサラサラにする）

痰の粘り気の原因である成分（ムチンなど）を直接分解したり、水分量を増やしたりして、痰をサラサラに溶かして排出しやすくします。

• ブロムヘキシン塩酸塩
  気道粘液の分泌を促進し、痰の粘度を下げて痰を出しやすくします。
• アンブロキソール塩酸塩（※市販薬では一部製品に配合されています）
  気道の潤滑性を高める成分（肺サーファクタント）の分泌を促進し、痰を溶かし排出しやすくします。
• L-エチルシステイン塩酸塩

気道分泌促進薬（分泌液を増やして痰を薄める）

気道からの分泌液の量を増やし、痰を薄めて粘り気を弱め、出しやすくします。

• グアイフェネシン
• グアヤコールスルホン酸カリウム
• クレゾールスルホン酸カリウム
• dl-メチルエフェドリン塩酸塩（※鎮咳・気管支拡張成分としても配合されることが多く、去痰作用も持ちます。）

5. 鼻水を止める成分

市販の総合感冒薬（風邪薬）に配合されている、鼻水を抑える主な成分は以下の通りです。

総合感冒薬は、せき、熱、喉の痛みなど、複数の症状に対応するため、通常、抗ヒスタミン薬と抗コリン薬のいずれか、または両方が配合されています。

これらの抗ヒスタミン成分は、第1世代と呼ばれるものが多く、眠気を引き起こしやすいという特徴があります。服用後は、乗り物や機械類の運転操作を避ける必要があります。

市販の風邪薬を選ぶ際は、「鼻水」の症状を特に重視した処方になっているかを確認し、副作用（特に眠気）についても注意して成分表を見ると良いでしょう。

抗ヒスタミン薬（アレルギー反応をブロック）

風邪の際に体内で過剰に放出されるヒスタミンの働きを抑え、鼻水やくしゃみを緩和します。

• d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
  多くの総合感冒薬に配合されている代表的な成分です。
• クロルフェニラミンマレイン酸塩
  d-クロルフェニラミンと同様によく使われます。
• クレマスチンフマル酸塩
  持続性のある抗ヒスタミン成分として配合されることがあります。
• ジフェンヒドラミン塩酸塩
  夜間服用タイプなどの風邪薬に配合されることがあります。

抗コリン薬（鼻水の分泌を抑制）

鼻水の分泌に関わる副交感神経に働きかけ、鼻水が過剰に出るのを抑える成分です。

これらの成分は、口の渇きや、人によっては目の調節障害（まぶしい、目がかすむなど）、排尿困難（特に前立腺肥大症の方）などの副作用が出ることがあります。

• ベラドンナ総アルカロイド
  即効性があり、鼻水の分泌を元から抑える働きがあります。
• ヨウ化イソプロパミド
  同様に鼻水の分泌を抑える目的で配合されます。

その他の鼻症状を改善する成分（鼻づまり対策）

鼻水そのものを止めるわけではありませんが、鼻づまりを改善し、鼻の不快感を和らげるために配合される成分です。

• プソイドエフェドリン塩酸塩
  鼻粘膜の血管を収縮させ、腫れを抑えて鼻づまりを改善します。

まとめ｜風邪の原因はウイルスなので抗生物質は必要ありません

風邪の原因のほとんどがウイルスによるものなので、セルフメディケーションでは抗生物質は必要なく、市販の風邪薬での対症療法になります。

市販の風邪薬はどれを選んでも風邪の諸症状全般に効くように処方が工夫されていいますが、配合されている有効成分の違いにより、特定の症状への効き目が強化されていることもあります。

この記事を参考にして、ご自身の風邪の症状に最適な風邪薬を見つけていただければと思います。

風邪薬は、ご自身の症状や体質、服用中の他の薬との飲み合わせなどを考慮して選ぶ必要があります。

ご不明な点があれば、薬剤師や登録販売者に相談してくださいね。